
いけばなは、技術の上達だけがすべてではありません。
例えば、いけばな教室では、ヒマワリの顔を上に向けていけるように指導します。もし、顔がうつむいていたら、だらしなく見えるでしょう。だから、花の顔を上に向ける。これは、花を元気に見せるいけばなの基本的なテクニックです。
この心得、私たち人間にも当てはまると思いませんか。過去の失敗にとらわれて、後悔ばかりしていてはいけない。上を向いて人生を歩んでいこう。上を向いたヒマワリの花は、そんなメッセージを私たちに届けてくれます。
いけばな教室で学ぶのは「生活空間を美しく彩るコツ」。これは同時に、「私たちが美しく生きるためのコツ」でもあります。
いけばなとは、花の声に耳を傾けること。花に親しみ、あなたの日々の暮らしを、より一層キラキラと輝かせてみませんか。
お花のお稽古というと、「和服を着て、座敷で正座をしていける」というイメージをおもちの方が多いようです。
最近では、稽古場は学校の教室のように、机と椅子を使うのが一般的。また、いけばなは水を使う作業ですから、ラフな格好でよいのです。お正月の「初いけ式」や、春や秋のいけばな展など、晴れ着を身につける機会もありますが、普段のレッスンはTシャツとジーンズでも問題ありません。

いけばなはテクニックです。お習字やお料理、ピアノやバレエと同じで、レッスンを続ければ上手になる技術なのです。
ですから、いけばなにセンスは必要ありません。自分の感性だけでいけるのなら、いけばな教室に通う必要はないでしょう。いけばな教室では、先人が試行錯誤の末、編み出した美の法則を学びます。この美の法則さえ身につければ、初心者でも名人と同じように美しく花をいけることができるのです。一度、身につけた技術は、失うことのない貴重な財産。いけばなを学ぶことは自分を磨くこと、自分自身に投資することだと言えるでしょう。
「お花の先生は厳しい人が多い」と思っておられる方も多いようですが、そんなことはありません。現在のいけばな教室は、修行の場ではなく、サークルみたいなもの。レッスンが終わればみんなでお茶を飲みながらおしゃべりしたりして、とても和やかな雰囲気です。みなさんも是非一度見学なさってみてはいかがでしょうか。今まで持っていたいけばなのイメージが変わるかもしれません。気軽に教室をのぞいてみて下さい。
継続的にレッスンを続けておられる方には、教授者が免許申請書をお渡しします。この免許申請書に免許申請料を添えて教授者に提出すれば、教授者の取り次ぎによって、家元が免状を発行します。
普通免許の段階は、入門/初伝/中伝/奥伝/皆伝/国会頭/師範代の7段階。ご申請いただくと、免状の他、江戸時代に書かれたいけばなの伝書「挿花百練」とその解説書、席札(作品の脇に添える桧の名札)等を受けることができます。また、中伝の申請時に「甫号」、奥伝の申請時には「斎号」という花号(花名)が与えられます。
入門・初伝のみ、同時申請が可能です。それ以降は、次段階の免許申請までに、最低半年以上レッスンを続ける必要があります。国会頭までは免許申請料を添えて提出すれば免許を受けられますが、教授者の資格である師範代を申請するためには、実技試験を受験する必要があります。
未生流は、江戸時代後期(1800年頃)、未生流一甫により創流されたいけばなの流派です。「花の全体が直角二等辺三角形におさまるようにいける」というシンプルな理論が分かりやすく、また流派が当初世襲制をとらず高弟が家元を嗣いだために、「未生」と名の付く流派は数多く存在します。
未生流笹岡は、1919年、未生流の高弟であった笹岡竹甫が創流した流派です。明治、大正期には、バラやユリなど、それまでのいけばなの型におさまらない西洋の植物が日本に渡来します。笹岡竹甫は、これらの植物にいち早く目をつけ、未生流の理論を踏まえながら、大小二つの三角形を組み合わせた新しいいけばなを考案します。未生流笹岡は、未生斎一甫のいけばなを現代に正しく伝えつつ、時代の要請にあわせて進化を遂げる、伝統と創生を兼ね備えた流派です。